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「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」について学ぶ

   

毎年、職場における熱中症がどのくらい発生しているかご存じでしょうか?

今回は、厚生労働省より発表されている「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」についてご紹介します。

 

 

職場における熱中症による死傷者数の推移

2020 年の職場での熱中症による死亡者数および休業4日以上の業務上疾病者数は 919 人でした(うち死亡者は19人)

記録的な猛暑となった2018年(死亡者数および休業4日以上の業務上疾病者数は 1,178人(うち死亡者は28人))と比較すると減少しているものの、2019年の休業4日以上の業務上疾病者数を上回る結果となりました。

過去 10 年間(2011~2020 年)の発生状況をみると、年平均で休業4日以上の業務上疾病者数は 621人(うち死亡者数は 21 人)となっています。

 

 

熱中症による業種別死傷者数(2016~2020年計)

過去5年間(2016~2020 年)の業種別の熱中症の死傷者数をみると、休業4日以上の業務上疾病者数は、建設業、製造業で多く、全体の約4割を占めています。

2020年の死亡災害をみると、過去 10 年間で初めて建設業(4件)よりも製造業(6件)の方が多くなっており、また休業4日以上の業務上疾病者数については、建設業 201 件、製造業 190 件でした。

 

 

熱中症による月別死傷者数(2016~2020年計)

2016 年以降の月別の熱中症の休業4日以上の業務上疾病者数をみると、全体の8割弱が7月及び8月に発生していることがわかります。

2020 年の死亡災害は5月から9月に発生し、5月は1名、7月は3名、8月は 14 名、9月は1名が死亡しており、年内の月別発生割合をみると
2019 年に比べ8月の発生割合が高かく、休業4日以上の業務上疾病者数にも同様の傾向が見られました。

 

 

熱中症による時間帯別死傷者数(2016~2020年計)

2016 年以降の時間帯別の死傷者数をみると、11 時台及び 14~16 時台に多く発生していることがわかります。

また、日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化して病院へ搬送されるケースも散見されていることも留意すべき事項です。

 

 

2020年の熱中症による死傷災害の特徴

2020年の熱中症による死傷災害の特徴は、熱順化不足が疑われる入職直後の発症、屋内作業での発症、熱中症の発症と年齢の関係、熱中症発症時の服装、熱中症発症者に対する対応や発見の遅れ、熱中症を原因とする二次災害が挙げられます。

例えば、屋内作業において炉の近傍など特定の熱源から近いところでの作業で多く発生、特定の熱源がところでは高温多湿と考えられる室内環境や室内の冷房設備が故障していた状況下で熱中症を発症、65 歳以上の労働者が25~29 歳の2倍以上であった、通気性の悪い服を着用していた、周囲が熱中症にかかった労働者に気づくのが遅かった、一人作業で気づくのが遅れた、救急搬送まで時間がかかった、熱中症によって意識を失い転倒、墜落、交通事故などが挙げられます。

 


今回は職場における熱中症による死傷災害の発生状況について中心にお話させていただきました。

熱中症は正しい知識と行動があれば未然に防ぐことができるものです。

準備期間である4月から熱中症予防対策をしていきましょう。

 

 

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