フルハーネス型墜落制止用器具特別教育の受講が必要です
高所作業における労働災害の発生状況
令和2年の墜落・転落により労働災害は、毎年約200人の労働者が命を落としており、休業4日以上の死傷災害を含めるとその数は20,000人にも及びます。 型別労働災害発生状況によると、墜落・転落による死亡災害が24%(191人)、休業4日以上の死傷者数が16%(20,977人)であり、高所作業において事故・災害がかなりのウェイトを占め、多発していることが分かります。 このように高所作業における事故・災害は非常に多く、墜落制止用器具(安全帯)による事故災害がその一つの原因として挙げられています。 厚生労働省は、平成30年6月22日に墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドラインを発表し、高所作業において墜落制止用器具を安全に使用する内容について詳細に定め、各事業場に推進しています。 |
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フルハーネス型墜落制止用器具特別教育の法的根拠
●労働安全衛生法第59条3項 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。 |
●労働安全衛生規則第36条第41号 法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。 |
●安全衛生特別教育規程第24条 安衛則第36条第41号に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。 |
●労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行等について(基発0622第1号) 第2 詳細事項 2 特別教育(安衛則第 36 条第 41 号及び特別教育規程関係) |
●墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン(平成30年6月22日付基発0622第2号) 第8 特別教育 |
改正点1 安全帯から墜落制止用器具に変更される
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安全帯(旧規格)の名称が墜落制止用器具(新規格)に改められました。 従来の安全帯は、「胴ベルト型(1本づり)」、「胴ベルト型(U字づり)」、「フルハーネス型(1本づり)」の3種類でしたが、改正後は、「胴ベルト型(1本づり)」、「フルハーネス型(1本づり)」の2種類のみとなります。「胴ベルト型(U字づり)」は墜落の制止をする機能がないことから新規格から除外されています。 なお、法令用語としては墜落制止用器具となりましたが、従来からの呼称である安全帯の用語は、身近に使用されていることもあり、日常的に使用することは差しつかえありません。 |
改正点2 フルハーネス型を使用することが原則となる
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高所作業(高さ2m以上)において、作業床がない箇所または作業床の端、開口部等で囲いや手すり等の設置が困難な箇所での墜落制止用器具は、フルハーネス型を使用することが原則となりました。 しかし、フルハーネス型の着用者が墜落時に地面に到達するおそれのある場合(建設業以外は高さが6.75m以下(建設業の場合は高さが5m以下))では「胴ベルト型(一本つり)」を使用できます。 今後は、高さや状況に応じてフルハーネス型または胴ベルト型を選択し、作業をおこなうことを選択していくことになります。
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改正点3 安全衛生特別教育の受講が必要である
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労働安全衛生法第59条3項の安全衛生教育の特別教育に、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育が追加されました。 厚生労働省のガイドラインでは、「事業者は、高さ2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難 なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行 う作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、あらかじ め、次の科目について、学科及び実技による特別の教育を所定の時間以上行うこと。」と明記しています。 |
経過措置(猶予期間)に留意する必要がある
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墜落制止用器具(安全帯)の規制に関する政省令・告示の改正は、左表のスケジュールで公布・告示され、施行・適用されています。旧規格の胴ベルトおよびフルハーネス型は2022年1月1日まで使用可能でしたが、2022年1月1日以降の現在は使用不可となっています。以降は、新規格の胴ベルトまたはフルハーネス型を使用する必要がありますので、フルハーネス型を使用される予定の方は、購入時期にご留意下さい。 また気をつけておかなければならないのは、特別教育については、経過措置はありません。特別教育を受講せずに作業に従事すると労働安全衛生法第59条3項違反となり、懲役6か月以下または罰金50万円以下の刑に処せられます。 |
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